みなさんこんにちは。今回紹介する早稲田にゆかりのある作家の方は、言語学者であり小説家である高田大介氏です。
高田氏は早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位を取得した後、退学。専門分野は印欧語比較文法・対照言語学だそうです。また、早稲田大学で講師を務めた経験もおありです。作品としては『図書館の魔女』シリーズと『まほり』があります。今回は、筆者のおすすめである『図書館の魔女』をご紹介していきます!
本作は第45回メフィスト賞受賞作であり、文庫本では1400ページを超える大著となっています(上下巻、文庫本で全4巻)。魔女、と題名にありますが、魔法が出てくるわけではありません。強いて言うなら政争がメインです。架空世界が舞台ではありますが、地政学的にその設定が必要だっただけであり、いわゆるファンタジーとは異なります。
あらすじ
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった――。
『図書館の魔女(上)』より
少年キリヒトが「高い塔の魔女」マツリカに仕えることになるところから物語は始まります。物事を自分に有利にすすめる権謀術数にたけ、国家間の駆け引きの中枢に立つマツリカは、キリヒトと同じまだ10代の少女です。そしてマツリカの最大の特徴として、言葉を話すことができません。「言葉は意思伝達の手段なんじゃない。言葉こそ意思。言葉こそ『私』」とマツリカは語っています。
次々と襲い掛かる陰謀と争いの中をマツリカとキリヒトが手を取り合って切り抜けていく、言語学とファンタジーが上手く織り合わされた「言葉」をめぐる物語です。『権謀術数が渦を巻く、超スリリングな外交エンターテイメント』と評されるにふさわしい作品であると思います。
筆者が今までに読んできた小説の中でも一二を争うほどにおすすめしたい作品ですので、ぜひご一読ください!
参考文献
講談社BOOK倶楽部 『図書館の魔女』上・下 高田大介(http://kodansha-novels.jp/1308/takadadaisuke/index.html)(2021.02.15閲覧)
筆者 師匠
早稲田大学社会科学部2年
早稲田大学公認サークル
まっちワークグループ早稲田
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